いまの皇室の足元が揺らいでいる理由は何か
最近「ハイブリッド戦」といって、相手国を分断して社会に亀裂を起こさせるために偽情報を流すことが常態化しているそうだ。仮に中国が天皇の権威を失墜させるために偽情報をメディアやSNSに流したとする。国民が人気に右顧左眄していると、簡単にだまされて皇室批判の大合唱になりかねない。そうなったら象徴天皇制は維持できなくなるだろう。
戦前は、皇族の結婚相手は同族(皇族)か勅旨により認められた華族と定められていた。天皇が認めた華族とは近衛家、九条家など五摂家のことである。五摂家なんて庶民には縁のない雲上人のような存在だから、それだけでも天皇は別世界の人だった。そのうえ明治政府は、天皇家の「万世一系」を演出するために、義務教育をはじめあらゆる手段を利用した。各地の古墳を大した根拠もなく天皇陵にしてしまったのもこの時期だ。そのおかげで国民の間に、天皇はさらに特別な存在として刷り込まれていった。
ところが日本の敗戦によって、私たちは皆平等になった。今それを疑う人はいないだろう。平等である相手に対して、「畏敬」や「敬意」を表したくなる人物といえば、よほど傑出した人物ではないと無理だ。それを、天皇だからといって、いまはかなえられる時代ではない。