軍事に依拠しない真の世界平和達成は果たして夢物語なのか
つまり、戦争を起こさないための戦力の均衡、あるいはより強いパワーで抑止するという考え方と、全ての戦力をなくし、理性と話し合いで平和を維持するという考え方。そのせめぎ合いだ。そして前者はえてして現実的で、後者は理想論のお花畑だと評される。
それはつまり戦争における焦点の当て方の違いである。血を流す兵士や、脅かされる国民の暮らしの悲惨さに目を向けるのか。国体の維持、戦略的経済的勝利に目を向けるのか。
■坂口尚のマンガ「石の花」が訴えるもの
坂口尚の「石の花」というマンガの中の言葉、「君の描いている平和は非現実的だ。子供の夢だ」と言われた男が反論する。「そうしてあなたも現実を肯定してしまう。それこそ戦争を起こす原因なんだ! 真に平和な世界をだれ一人だれ一人経験したこともないのにどうしてダメだと言えるんです」というセリフが胸を打つ。
真の世界平和はまだ誰も経験していないのだ。だから夢物語なのだろうか。まだ一度も起きていないからこそ、これから起こる可能性があるのではないか。