海老蔵が“太陽”なら菊之助は“月” 3年ぶり「團菊祭」で見せつけたオーラと熱気

公開日: 更新日:

 今月の歌舞伎座は3年ぶりに開催された「團菊祭」。場内に特別の飾りがあるわけでも口上があるわけでもない。他の月と変わりはないのだが、独特の空気が流れるので不思議なものだ。

 第二部では、将来の團十郎と菊五郎である市川海老蔵尾上菊之助が、それぞれの家の芸を競う。

■「暫」で見せつけた圧倒的オーラ

 昨年7月以来の歌舞伎座登場となった海老蔵は「歌舞伎十八番」の『暫(しばらく)』。以前は他の家の役者も演じていたが、1995年以降は十二代目團十郎と海老蔵しか演じていない。まさに成田屋のみが演じることのできる演目。

 海老蔵が登場するのは中盤からだが、花道を出てくると、空気が一瞬にして変わる。突然、照明が明るくなったような錯覚に陥る。劇場内に太陽が輝いているようだ。なんというオーラ、そして熱気。

 物語はないに等しい。人間離れした異様な扮装と大音量の海老蔵に、神が見える。近代的西洋演劇の常識では、これは演劇ではない。これこそが「歌舞伎」であり、歌舞伎役者のなかでも選ばれし者にしか演じられない──ということを再確認させる。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ