日本の伝統芸能の伝承者を養成する「虎の穴」はいつから始まった?
経営者の高齢化が進むビジネス界では、後継者の育成や事業承継まで手が回らず、倒産や廃業する企業が増えているという。
その波は、歌舞伎や能楽といった日本の伝統芸能にも及んでいる。そこで、伝承者を安定的に確保するために行っているのが、独立行政法人「日本芸術文化振興会」の養成事業だ。
■今や歌舞伎俳優の3割が一般の研修生
今では、現役の歌舞伎俳優299人のうち98人(約33%)がこの養成事業修了生。中村歌女之丞、中村梅花、市川新十郎といった錚々たる顔ぶれを輩出している。
同じく文楽は85人中48人(約57%)、寄席囃子にいたっては29人中27人(約93%)を修了生が占めるほどだが、育成事業はどのように始まったのか?
同振興会の調査養成部養成課の担当者はこういう。
「国立劇場開場時(1966年)から伝統芸能の後継者不足が危ぶまれており、伝承者を安定的に確保するため、各関係団体協力のもと、広く一般から研修生を公募する養成事業を70年から開始しました。以前は2桁の応募があった時代もありましたが、最近は少子化の影響なのか応募が少なくなっています」