日本の伝統芸能の伝承者を養成する「虎の穴」はいつから始まった?
少子化の影響で応募者は減少傾向
70年の歌舞伎俳優研修を皮切りに、その2年後には文楽研修をスタートするなど、今では9つの分野に拡大。積極的に人材育成に取り組んだ結果が、先の研修生の就業者人数に表れているのだ。
しかし、担当者が言うように、応募は徐々に減っているようで、以前は定期募集ではなかったが、歌舞伎や文楽は毎年募集することになったという(今年は上記2つと能楽も募集)。
今後は説明会なども行って広く研修生を募るというが、では、どういう人が応募できるのか。
たとえば、10月3日から募集が始まる「歌舞伎俳優研修」の応募資格は──。
〈中学校卒業(見込みを含む)以上の男子、原則23歳以下で経験不問〉
作文、簡単な実技試験、面接があり、それに受かると来年4月から2年間の研修が始まる。とはいえ、研修開始8カ月後に適性審査があり、それに合格しなければならないという、なかなかシビアな世界だ。
もっとも、受講料は無料の上、東京・千代田区にある国立劇場で研修を受けるために地方出身者向けには宿舎があり(空き室がない場合は住宅費補助)、さらに奨励費貸与制度(返還免除規定あり)と待遇面は至れり尽くせり。研修修了後は、本人の希望を踏まえ、幹部俳優に入門して歌舞伎役者として舞台を踏むことになる。