八月納涼歌舞伎「東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚」は派手さとばかばかしさで暑気払いに正解
コロナ禍で先月までは3分の2くらいしか観客を入れていなかったが、今月からほぼ全席を売るようになった。2年前の公演再開のときはガラガラだったが、ほぼ埋まっていた。これで客席やロビーで食事ができ、掛け声がかけられるようになれば、元の歌舞伎座が戻るのだが、いつになることか。
納涼歌舞伎なので若手中心の座組。
第一部「新選組」は手塚治虫が1963年に描いたマンガが原作。新選組の架空の隊士が主人公の友情のドラマ。中村歌之助と福之助がその2人を演じ、勘九郎が近藤勇、七之助が土方歳三、扇雀が坂本龍馬で、2人を支える。
原作は200ページくらいの短い作品だが、ほぼそのまま劇化されていた。背景の書割は手塚マンガ風の絵。ブラックジャックが出てきたり、アトムの音楽が流れたりするのは手塚へのオマージュだとは思うが、そういうギャグは余計な気がした。
続く舞踊劇「闇梅百物語」は中村屋ファミリー総出演。勘九郎とその子、勘太郎・長三郎が客席をほんわかとさせる。
■勘九郎の悪役に凄みが出てきた