日本の伝統芸能の伝承者を養成する「虎の穴」はいつから始まった?
お囃子の舩窪舞子さんはいったん社会人を経験
また、大衆芸能の寄席囃子は応募資格が〈原則45歳以下の女子〉と幅広いため、子育てしながら研修を受ける人もいる。
2018年3月に寄席囃子研修を修了し、現在は落語芸術協会に所属している舩窪舞子氏は「以前からお琴などを習っており、この制度に興味はありました」といってこう続ける。
「ただ、会社員生活も経験してみたいと思い、大学卒業後、約10年働き、ちょうどお囃子の募集があったので挑戦してみたところ合格し、研修生になりました。月曜から金曜日まで毎日研修があり、宿題もあって忙しかったですね」
コロナ禍で寄席の休業もあったという。
「1カ月休みだったこともありますし、10日間ごとの興行も5日だけの出演になったりしています。ただ、復興寄席で東北に行ったり、『紙切り』の演目のため、『鬼滅の刃』の曲を練習したりと今も勉強の日々です」
コロナもようやく落ち着いてきたため、活動も徐々に再開。10月23日の「松戸落語会」(松戸市民劇場)には、雷門小助六、笑福亭鶴光らと出演予定だ。
どの分野も一部のスターや親子間の継承だけでは成り立たず、何もしなければ日本の伝統芸能は衰退の一途。日本芸術文化振興会の果たす責任は重そうだ。