著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

内場勝則は“師匠”のような存在「恥ずかしいねんけど、なんも思い浮かばへんねん」と相談したところ…

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 そんな、うっちゃんに本当の窮地を救ってもらったことがありました。プロット(筋書き)が全く思いつかず、明日セット発注をしないと間に合わないところまで追い詰められ「うっちゃん、恥ずかしいねんけど、なんも思い浮かばへんねん、なんかやりたい話ないかな?」とやむにやまれず相談をしたのです。「今頃何言うてんねん!?」でも「なんかあるやろ?」でもなく、慌てず騒がず、座長のうっちゃんはしばらく考えて「本多さん、芝居書きちゃうもんね、そういう時もあるんちゃいます? そうやなぁ……僕が夜勤で帰ってきたところへ、田舎からじいさんが出てきて、じゃまばっかりしていっこも寝かさへんいう話できませんかね?」という案をもらい、それまで出てこなかったアイデアが一気に流れ出し、すぐにマンションの一室をメインに廊下、管理人室などのセットを発注。同時に時間がないので相当量の内容も書きこんだ“プロット一稿”を書いてうっちゃんに見せると、「いけるんちゃいます?」と了解を得て、「眠れない男」という作品になりました。さらにこれは常に新作を上演する吉本新喜劇で唯一、NGK改装記念で再演された“記念すべき作品”になりました。

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