中田ボタンの巻(上)「文句があんねやったら、わしに直接言うてこい!」
2019年3月から体調不良で休養されていた中田ボタンさんとのマネジメント契約を双方の合意により終了すると、2月20日に吉本興業から発表されました。
本来は師匠と呼ぶべきですが40年近くにわたって一緒に仕事をさせていただき、ずっとそう呼んできたので“ボタンさん”と呼ばせていただきます。
まだ駆け出しだった頃、楽屋で初めてお会いした時に「おはようございます!」と挨拶すると「なんや自分(君は)?」と鋭い目で睨まれ「阪神・巨人さんの(漫才)台本を書かせていただいております、本多と申します」と名刺をお渡しすると「漫才作家、本多正……どない読むねん?」「まさのりです」「こんなん“のり”て読むか? 無理やりやな?」と優しい目になって「なかなか食われへんぞ(生活できないぞ)。そうか漫才作家か、辛抱して頑張りや。またウチのも書いてや」「ぜひ、お願い致します!」「その代わり、おもろないとアカンぞ」と温かい視線でニヤッと笑われた顔を今でも覚えています。
当時、芸人・スタッフ間で行われていた「抱かれたい芸人」投票では、ダントツの1位。とにかくカッコいい! 竹を割ったような性格で礼儀はきちっとされていましたが、会社や放送局の“偉いさん”にもおもねることなく、誰に対しても真摯に平等に向き合っておられました。楽屋で芸人さんたちが話していても、“オチ”のおいしいところは必ずボタンさんが一言で決めてさらってしまい、残ったみんなが腹を抱えて大爆笑するという光景を何度見たことか。返しの瞬発力と破壊力は群を抜いておられました!