飯田基祐さんはドラマの名脇役 「この仕事をやっている限り、主役を演じてみたい」
伊東四朗さんの背中を見ながら演じてきた
伊東四朗さんからは仕事に対する考え方や向き合い方など学ぶことが多かったですね。とくに忘れられない言葉は「どこで誰が見ているかわからないから手を抜くな」です。努力している姿もサボっている姿もどこかで誰かが必ず見ているから手を抜くなと。現場でも私生活でもちゃんとしなさいと言われました。
いつもその背中を見ながら仕事をしてきた、そんな気がします。もし伊東さんに出会っていなかったら、たぶん間違った方向へ行ってしまい、傲慢な人間になっていたかもしれない。感謝しかありません。
これまでずっと脇役を演じてきましたが、僕自身は脇役って思ったことはないんです(笑)。でも、もちろんこの仕事をやっている限り、主役を演じてみたい気持ちはあります。もっとも、主役をやりたいのは、やるとこれまで見たことのない視界が開けるとかじゃないですね。僕の場合、主役をやったからといって一晩で世界がガラリと変わるようなことはないでしょうね(笑)。
主役をやってみたいと考えるようになったのは近頃、仕事と向き合う気持ちが変わってきたからだと思います。
主役、脇役の演じるボリュームでいうと、例えば、1日で終わる現場と1週間で終わる現場があるとすると、想像だけど両方ともかけるエネルギーは同じで、違うとしたら出演している時間です。そうして関わった作品については、みなさんが同様に評価されたいと思っている。
でも、それは世間が評価するわけで、悩んだり心配しても仕方がない。そのために自分に何が必要なのか、仕事とどうやって関わるのが一番いいのか、大切なのは現場を楽しく過ごすことなんじゃないか。そう思ったら主役をやるのもいいかなと考えるようになりました。
仕事以外では音楽ですね。以前ギターを弾いていたのですが、バンドを再開させたいですね。僕は洋楽が好きでフジロックに行っていた時期もあります。音楽好きの番組のプロデューサー、ミュージシャンのバンドの仲間がいるので、声をかけて始めたいですね。
■20年前から始めたガーデニング
20年ほど前からやっているガーデニングも続けたい。拾ってきた流木でハンギングを作り観葉植物を吊るしたり、植物をコンテナに植えたり。ベランダと部屋の中に全部で15鉢ほどあります。緑を眺めながらセリフを覚えていると、不思議と気持ちが落ち着くんです。
あちこちの大型の園芸センターに行ってゆっくり植物を眺めながら苗を選んでくるのも好きですね。愛知県の豊橋市に大きなフラワーパークがあるので行ってみたい。最近、有名な家具屋さんが京都で植物専門店を始めました。もし現場が京都の主役が決まったら、仕事の合間にちょくちょく寄れますね(笑)。 (聞き手=浦上優)
▽飯田基祐(いいだ・きすけ)1966年、東京都出身。今クールの出演テレビドラマは「どうする家康」(NHK)、「罠の戦争」(フジテレビ系)、「アカイリンゴ」(ABC他)、「美しい彼 シーズン2」(TBS系)、「僕らのミクロな終末」(ABC、7・8話)。