ブラピ「バビロン」と小出恵介「銀平町シネマブルース」に見る映画館の存在意義

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■“映画館”は単に作品を観賞する場ではない

 最近、Netflixの登録者数の伸び率が鈍化していることが話題になったが、それでもコロナ禍によって、配信で映画を見る人は世界的に増えてきた。映画館は時の流れによって、やがて消えていくことになるのかもしれない。だが“映画館”は単に作品を観賞する場ではなく、「バビロン」のジャックや「フェイブルマンズ」のサミー少年のように、その後の人生を変えてしまうような体験をもたらす場所でもある。大きなスクリーンで見る作品の感動はもちろん、その場での観客の熱狂や、あるいは失望からくる落胆の反応まで、ライブな場である映画館でしか味わえない実体験。これもまた映画というメディアの一つの魅力で、それを配信が主流になることで手放してもいいのか。世界の映画人は、そんな思いを作る作品の中で訴えかけているかのようだ。配信や映像ディスクで、お手軽に映画を楽しむのは悪くない。しかし作品とのファーストコンタクトは、やはり映画館で。続々と公開される“映画館”がポイントの映画によって、そのことを再認識する人が増えれば、映画館はこれからも暗闇の中で多くの人と共同幻想を実体験できる場所としてその命脈を保っていけるかも知れない。

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