ブラピ「バビロン」と小出恵介「銀平町シネマブルース」に見る映画館の存在意義
最後に映画を俯瞰的に見る楽しみ方を一つ。「バビロン」は1920年代から物語が始まり、マニーが「雨に唄えば」(52年)を映画館で見て、昔を思い出すまでが描かれる。「フェイブルマンズ」は「地上最大のショウ」の始まり、70年代初頭にサミーが西部劇の巨匠ジョン・フォード監督と出会うまでの物語。つまり2本を続けて見れば、20~70年代にハリウッド周辺で生きた人々の映画に対する思いが、一続きで体感できるのだ。そんな映画の見方もまた、面白いと思うのだが。
(映画ライター・金澤誠)