「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」興行収入65億円を突破! 人気の秘密は期待を裏切らない“安心感”
ここまで“期待通り”にこだわった理由は、93年にアメリカで実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」で、観客動員も興行収入も大失敗した苦い思い出による。以来、海外からの映画化オファーには及び腰だったというが、今回ゲームファンの“期待通り”に徹し、ようやく黒歴史からの汚名返上ができたようだ。近年はマーベル作品などマンガ原作の実写版、マンガ原作のアナザーストーリーなど、映画製作にあたって付加価値があるが、実は思ったほど観客は“その先”を求めていないことの証明になったのではないか。
大学生の娘を持つ女性は「娘とドラマや映画の話を共有するのに時差がある。私が放映中のドラマにハマっても、娘は半年もたってからネットで見始めてハマるんです」という。体験の多様化が進み、世代が同じでも共感しにくいのが今のエンタメ。そんななか、全世代、全世界、皆一度は通っている、世代・国境を超えて共有できる数少ないエンタメが「マリオ」。エンディングロールでは、新たなストーリーのイントロも埋め込まれている。本作の成功で続編も期待できそうだ。
(取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ)