山田洋次監督に言われた「あなたにうまい演技は望んでません。あなたの人柄が出ればいい」
正蔵は本業以外に、俳優としても活躍している。映画は、山田洋次監督作品の「家族はつらいよ」シリーズ3作に出演している。
「きっかけは、小朝兄さんに『頓馬の使者』をやってみないかと言われたことです。監督が小さん(先代)師匠に書き下ろした創作落語です。やる気になって、監督の許可を得るためにお会いしました。監督は、『いいですよ。ただ、条件があります。私の前で一度やってみて下さい』と言う。それで、稽古を重ねてから松竹の稽古場へ伺いました。座布団に座ると、『じゃあ始めましょう。用意、スタート!』(笑)。撮影と同じなんです。演じたら、ダメ出しの連続です。結局、3回も監督の前でやりました」
その後、映画出演のオファーがあったという。
「なんと、木村拓哉さん主演の時代劇、『武士の一分』です。桃井かおりさんのご主人の役で、もちろん出たかったんですが、ちょうど正蔵襲名でめちゃくちゃ忙しい時期で、どうしても時間が取れない。泣く泣くあきらめたわけです」
それから7年たった2013年、「東京家族」に出演する。