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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

同じバケモンでも… シザーハンズと異なった野生爆弾くっきー!の芸人人生

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 それはお笑いでも同じだった。奇想天外な彼らのネタはなかなか観客に理解されない。

「やっぱ『1(年目)の1(月目)』はウケたいと思ったけど、『1の2』の時点でウケへんから。『1の3』『1の5』くらいで、もうウケへんが続くとウケないに慣れてくる。免疫できちゃって。ウケないという毒なんて屁でもなかった」(テレビ東京系「あちこちオードリー」20年6月2日)

 こうしてウケる・ウケないよりも、自分が面白い・カッコいいと思う笑いを貫いた。そんなくっきー!は自分の芸人人生を映画「シザーハンズ」の主人公に重ねる。

「最初、山奥で、僕らで言ったら劇場ですよ。全然、日の目も見ず、誰も見てくれない状態が続いて。急になんか、手がハサミで芝刈り上手、見た目バケモノだけど、よう見たら、かわいいんちゃう言うて、みんな好きになるやん。ほな結局、誰かの頭をハサミで傷つけちゃって、『こいつ、やっぱりバケモンや!』って山に追い返されるやん。まったく一緒、たぶん。俺、もうすぐ誰かの耳を切る(笑)」(同前)

 切ない結末になった映画と違うのは、もはや彼の優しく繊細な人間性がにじみ出て、広く世間に知れ渡っていること。くっきー!は自分の芸風を「泥水」に例え、「僕の泥水、たまにろ過されて美しい瞬間もありますけどね」と笑って言う。

「お客さんである人間が笑うから僕もうれしくなる」(「マイナビニュース」21年9月30日)

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