フジ「新宿野戦病院」は⇒NHK「虎に翼」とTBS「ふてほど」のイイところ全部いただきドラマだ
便乗するにもほどがある?
ヒロイン寅子(伊藤沙莉)の夫で、戦病死して多くの視聴者がロスに泣いた佐田優三役の仲野太賀が、病院長の甥の医師役で主演。寅子の父親だった岡部たかしは内科・小児科担当の医師、寅子が弁護士になって最初に勤めた法律事務所の所長・雲野六郎の塚地武雅は看護師長、寅子の同級生で家族にことごとく裏切られてしまう大庭梅子の平岩紙は院長の娘で、ソーシャルワーカーである。
放送中の朝ドラ出演者を何人もキャスティングするなんて前代未聞だが、そこにクドカンの仕掛けがあるらしい。
「朝ドラではけなげだった仲野が、こっちでは小遣い稼ぎとギャラ飲みしか興味がないチャラい医者、まじめで不器用な父親だった岡部はパパ活に夢中です。ちょっと気弱で人のいい弁護士の塚地は、このドラマでは太っ腹で、自分のジェンダーが男だか女だかわからなかったり、平岩は今度は医師試験に合格できない挫折感からマッチングアプリに走るなど、『虎に翼』のキャラと真反対なんです。あえて朝ドラの出演者を並べて、逆転ギャグで面白がってもらおうという狙いなのでしょう」(テレビドラマ評論家)
「ふてほど」からも、制服姿の携帯電話ショップ店員だった中井千聖が、社会弱者を支援するNPO法人のスタッフとして出演し、ぶっ飛びのファッションと髪形に変身している。
どうせなら、寅子のライバルで男装の親友、山田よねの土居志央梨も、何かの役で登場させてくれないかなあ。
(コラムニスト・海原かみな)