【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話
■亡くなった2日後に新曲が初めて「ザ・ベストテン」にランクイン
松尾 岡田有希子さんとは接点はあったんですね。
南野 ただ、顔を合わせたのは修学旅行のときくらいで、会話らしい会話はしたことがなかった。それでも、ウチの高校には卒業するための補習授業というのがありまして。
松尾 出席日数が足らないから……。
南野 そうそう。その補習授業が卒業式が終わってからあって、2人並んで授業を受けました。そのときに、初めてユッコとはいろんな話をしたんです。私がちょうど歌番組に出演し始めた頃だったんで「こういう場合は、こういうふうにやるといいよ」とか彼女の方が先輩なのでいろいろ教えてくれて。
松尾 美しすぎる光景。じゃあ、そのときに、初めてじっくり話した感じなんですか?
南野 そうなんです。だから3月末は、ユッコと本当にたくさん話したんですよ。仕事現場で会うこともわりと多かったし。
松尾 その年、岡田有希子さんは松田聖子さんが作詞して坂本龍一さんが作曲した「くちびるNetwork」で初めてオリコン1位を記録しましたからね。亡くなったのは、まさにその直後、1986年4月8日。
南野 ……理由がいろいろ言われていた中で「そうかなあ」というのと「違うかも」というのが交ざった複雑な思いがありました。ただ「そんな恋愛の悩みじゃないんじゃないかな」っていうのは率直に思うんです。実際のところはわからないけど。
松尾 岡田さんが亡くなって、ご自分は精神的に不安定になりませんでしたか?
南野 実は、彼女が亡くなった2日後に新曲の「悲しみモニュメント」が初めてTBS系の「ザ・ベストテン」にランクインしまして、周りの大人たちはすごく喜んでいるけど、自分はそんな気分にもなれず、かといって取り乱すでもなく、そもそも、18歳だから友だちが亡くなるって、年齢的にめったにないじゃないですか。「私はどう振る舞ったらいいんだろう」ってすごく悩んだ記憶があります。