【特別対談】南野陽子×松尾潔(1)「同学年の人が今も活躍していることがうれしい」
平井堅、CHEMISTRY、JUJUなど人気アーティストを多く手掛け、EXILE「Ti Amo」で日本レコード大賞、天童よしみ「帰郷」で日本作詩大賞を受賞した松尾潔。今月24日に発売されるアヤ・シマヅ(島津亜矢)のアレサ・フランクリンのカバーアルバムなどをプロデュースする一方で、小紙コラム「松尾潔のメロウな木曜日」でもおなじみの彼が、往年のアイドルと対談するシリーズ第3弾。「憧れの人」早見優、「教え子」今井絵理子に続く今回は「同学年のヒロイン」南野陽子である。(全3回の第1回)
■「話しかけたかった」を聴けば1987年の記憶が蘇る(松尾)
松尾 いきなり恐縮ではありますが、「アイドルへの思い入れはなぜ美しいか」という持論からまず述べたいと思います。
南野 拝聴します(笑)。
松尾 青春時代にアイドルを好きになることは「青春の何かを仮託する」ことかと思います。例えば「話しかけたかった」を聴けば、熱狂的なファンでなくても、1987年当時の記憶が鮮明に蘇るでしょう。ましてや、追っかけをしていたような人からすると……。
南野 その感じはすごくわかります。
松尾 個人差はもちろんあるんだけど、青春時代って背負い込むものもそれほどないし、親の介護もまだ先。そんな頃に好きだった人が今も美しく、活躍されているということは「これまでいろいろあったけど、実はそう悪くなかったんじゃないか」って人生を肯定できるという。だから「思春期に推しがいる」っていうのはすてきなことだと思います。
南野 褒めすぎ(笑)。