だれもが首をひねった 演技派俳優・古尾谷雅人の自殺の謎
「バブル絶頂期に1億4000万円のローンを組み、1億5000万円でマンションを買ったが、当時は4000万円ぐらいに値下がりしていた」(芸能関係者)とローンにも苦しんでいた。
そして、運が悪いことに、役者として大物視され、ギャラのランクが上がったことで、仕事のオファーが減っていた。それでも、存在感と役作りに定評のある、自他共に認める昔気質の役者だった古尾谷は、あくまでも俳優の仕事にこだわり、バラエティーなどの仕事は受けなかった。そこで鹿沼は日活の元売れっ子女優というプライドをかなぐり捨て、借金返済のため近所のスナックでアルバイトをしながら、金策に走る日々を送った。
それだけではない。親族間でのトラブルも持ち上がっていた。自殺の前年、古尾谷の父が亡くなったのだが、遺言でほとんどの財産を継母が相続し、古尾谷と弟が裁判で継母と争っていたのだ。
これらのことが重なって古尾谷は鬱状態に陥っていたという。家では昼夜逆転の生活を送り、巨人戦を見ては酒浸りの生活。鹿沼が著書「最期のキス」(講談社刊)で明かしたところによると家族に暴力を振るうことも多かったという。