返品された雑誌のアンケートはがきに自分で「堀江しのぶ」
どこの芸能プロダクションも新人売り出しのときは、有線放送のリクエストをスタッフ総出でかけたり、雑誌アンケートで自社タレントを推したりするものだ。弱小プロダクションの野田は自身でアンケートはがき数千枚を引きちぎり、ある少女の名前を徹夜で書きつづけた。
「堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ 堀江しのぶ……」
はたから見たら狂気の沙汰であろう。
世に打って出るときには時には情熱を上回る何かが必要なときがある。人脈も財力も学閥もない野田には、情熱だけは負けない自信があった。「偉いもクソも、あんなもん、アルバイトしていたときには一日中梱包したりしてたわけですから。3000、4000冊ほどいて、また梱包し直すなんて簡単ですよ。やりましたよ、全部。自分でやればいいだけでしょ」
「胸が大きい女は売れない」という芸能界の常識を覆し、堀江しのぶ人気は高まっていく。野田の情熱と堀江しのぶという素晴らしい人材が化学反応を起こしたのだ。