「オプジーボ」の効果があるのは2割 “夢の薬”の現実と課題
近年の抗がん剤治療は、まず遺伝子検査などを行って、効果がある薬を選択して投与するのが一般的だ。
免疫チェックポイント阻害薬も事前に遺伝子検査が行われているが、実際は使ってみなければ効くかどうかはわからないし、思わぬ副作用が出るかもしれない。過剰に期待するのは禁物だ。
また、1瓶(100ミリグラム)の価格が17万4000円(11月~)とまだ高額なうえ、投与が始まったらやめ時がわからないという問題もある。
「オプジーボが保険診療で投与できるのは、手術が困難、化学療法の後に悪化、進行性、再発といった条件の患者に限られ、“最後の切り札”に近い状態で使われます。そのため、薬の効果がほとんどなかったり、徐々に効果が弱くなった場合でも、患者も家族も『やめたくない』と希望するケースがほとんどです。医療者側もなかなか中止を決断できません。あまり効果がないのに超高額な医療費を費やすことになり、保険制度の破綻リスクが加速するのではないかという声も上がっています」
本庶氏がノーベル賞に選ばれた直後から、医療機関には「自分もオプジーボを使いたい」というがん患者の問い合わせが殺到しているという。やみくもに飛び付く前に、オプジーボの現状をしっかり知っておきたい。