「オプジーボ」の効果があるのは2割 “夢の薬”の現実と課題
京大・本庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞の受賞で、これまで以上に脚光を浴びている免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。あらためて、がん治療における“夢の薬”とばかりに騒がれているが、実はまだまだ課題も多い。
現在、免疫チェックポイント阻害薬は5種類が認可されている。その中で、オプジーボは「抗PD―1抗体薬」という種類にあたる。
ヒトの免疫細胞は、体内に生じたがん細胞を異物として攻撃し、排除しようとする。しかし、がん細胞は表面に「PD―L1」といわれるタンパク質を出して抵抗。PD―L1をPD―1に結合させ、ヒトの免疫細胞の働きにブレーキをかけるのだ。
抗PD―1抗体薬は、がん細胞が出すPD―L1の代わりに免疫細胞のPD―1にくっついてPD―L1とPD―1との結合を阻害し、免疫細胞の攻撃力を高めてがん細胞を排除する。直接、がん細胞を攻撃する従来の抗がん剤とはまったく違う仕組みの薬といえる。現在は、悪性黒色腫、肺がん、腎がん、頭頚部がん、胃がんなど7種類のがんに使われている。
細胞を直接攻撃しないため副作用が比較的少なく、条件が揃っている患者には劇的な効果が表れるケースもある。「有望な薬なのは間違いないが、まだよくわかっていない点も多い」と、岡山大学病院薬剤部の神崎浩孝氏(薬剤師)はこう続ける。