使い始め3カ月以内にできやすい「痛み止め」「解熱剤」潰瘍
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害することで、痛みの原因となるプロスタグランジン(PG)と呼ばれる物質の産生を低下させます。
ところが、このPGという物質には胃や十二指腸の粘膜を保護するという役割もあるため、NSAIDsを使用することで結果として胃の粘膜の保護作用が低下して傷つきやすくなり、潰瘍の原因となるのです。
NSAIDs潰瘍は非ステロイド性消炎鎮痛剤を使い始めて3カ月以内でよく見られる症状です。
ピロリ菌による潰瘍が胃の入り口に近い胃角部から胃体部にできるのに対して、胃の出口である幽門部に潰瘍が現れるのが特徴で、浅い潰瘍が数多く見られます。
出血や幽門部狭窄などの合併症があるケースも多く、胃の痛みといった自覚症状がないケースが半数近くあります。
日本リウマチ財団が1991年に発表した調査によると、NSAIDsを3カ月以上服用している関節リウマチ患者のうち、15・5%に胃潰瘍が認められ、1・9%に十二指腸潰瘍が認められたと報告しています。通常の消化器がん検診で診断される胃潰瘍の頻度が1~2%ですから、かなり高い確率で発生するといえるでしょう。しかも、NSAIDs潰瘍のうち胃潰瘍は41・3%が何も症状や兆候を感じない、「無症候性」だったとしています。