若い糖尿病患者は「逆行性射精障害」に注意…男性不妊の原因に
「精液と尿は同じ尿道を通っています。それを目的に応じて体外に排出するには、自律神経である交感神経と副交感神経が関係しています。性的刺激により勃起するときは、リラックス時に優位となる副交感神経が優勢でなければなりません。やがて性的興奮が高まって射精するときは、一気に緊張時に優位となる交感神経が優勢になります。この副交感神経と交感神経の切り替えにより、前立腺と膀胱のつなぎ目である膀胱頚部が閉じて、精液が膀胱に逆流せずに体外に射精されるのです」
一方、尿を出すときは副交感神経が優位になり、膀胱頚部や前立腺部尿道が緩む必要がある。
「おしっこの途中で人の気配に気づいて緊張するとおしっこが出にくくなることがありますが、それは交感神経が優位になって膀胱頚部などが閉じるためです」
糖尿病の人は、神経障害によってこの交感神経の切り替えがうまくいかずに逆行性射精障害を起こすケースが多いという。
「2~7日の禁欲後に行う精液検査における射精量の正常値は1.5ミリリットル以上です。それより少なければ逆行性射精障害の可能性があります。わざわざ病院で調べるのは恥ずかしい、自分で知りたいという人は、自慰行為後の排尿を紙コップなどで採取して観察してみることです。白く濁ってドロッとしていたりすれば、精液が尿道口から出ずに膀胱に逆流しているのかもしれません」