著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

鳥山明さんの手術報道も…「脳腫瘍」は良性なら全摘も可能

公開日: 更新日:

 原発性脳腫瘍の場合、悪性は大脳や中脳、小脳、脳幹などの脳実質にできやすく、良性は脳を覆う髄膜や脳神経など脳実質以外の組織にできやすいのが特徴です。150種類以上に分類される原発性脳腫瘍のうち、最も多いのが髄膜腫で、まれですが髄膜腫などの脳腫瘍が硬膜下血腫の原因になることもあります。

 脳は、頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間で、腫瘍が大きくなるにつれて頭蓋内の圧力が上昇。頭痛や吐き気、意識障害などの症状が起こりやすくなります。さらに腫瘍ができた部位によって、その部分の脳がつかさどる機能が障害されることもあります。良性と悪性とでは、広がり方にも違いがあり、良性は正常組織との境界がハッキリしているのに対し、悪性は境界が不明瞭です。ですから、悪性は手術で取り切るのが難しいですが、良性は全摘もできます。

 脳腫瘍のリスク因子は高脂肪・高タンパク質の食事やストレス、喫煙などが挙げられます。鳥山さんは洋食を好まれていたようで、ヘビースモーカーだったとされますから、ひょっとすると脳腫瘍のリスクが重なったのかもしれません。少なくとも動脈硬化を起こしやすい生活で、それが硬膜下血腫の原因になった可能性はあるでしょう。

 いずれにせよ、世界的な異能を失ったのは事実です。鳥山さんのご冥福をお祈りします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動