「ヒト・ヒト感染」が進行するエムポックス症…トランプ・ショックで世界的流行の懸念
もともとアフリカ中央部での風土病とされ、現在はⅠa、Ⅰb、Ⅱa、Ⅱbの4つの亜系統群が知られている。クレードⅠは主に中央アフリカで、Ⅱは西アフリカで流行してきた。状況が変化したのは2010年代半ば。クレードⅡがナイジェリアで集団感染を起こし、2022年にはヒト・ヒト感染が容易なクレードⅡbが確認され、世界的流行が起きた。
■アフリカのメガシティーで流行
クレードⅠは中央アフリカの農村部で散発的な感染を繰り返してきただけだったが、2023年後半に人口密度の高い都市で急速に拡大した。その大半がセックスワーカーだったことから、こちらもヒト・ヒト感染が容易な特徴を持つウイルスに変化したとされ、Ⅰbと名づけられた。クレードⅠbは現在、欧米や東南アジア、アフリカ諸国にも広がっている。Ⅰaもコンゴ西部などで増えているという。
「死亡率はクレードⅠで10%、Ⅱ(a、b)で1%とされています。気になるのは、コンゴ民主共和国の首都で、著しい成長を遂げているメガシティーのキンシャサ(人口1475万人)でクレードⅠaとⅠbの両方が流行していること。キンシャサ・ヌジリ国際空港には多くの国際線航空会社が運航しています。新型コロナなどでヒト・ヒト感染によりウイルスが大きく変化することを経験しましたが、エムポックスウイルスはまさにそれが進行している状態であり、世界中に伝播することを専門家は危惧しているのです」