《この男を落とすわ…》同期CAの夫だと知って罠を張り、寝取った証拠を自撮りする女 #2

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コクハク

これまでのあらすじ

【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】

 咲子さん(30歳日系CA/独身)は、子供時代から「かわいい」と言われて育った美女だ。大学卒業後、大手エアラインのCAとなってもその美しさから「会社の顔・広報要員チーム」として活躍。しかし、年齢が上がるにつれ、若さと美貌を持つ後輩たちにその座を奪われショックを受ける。

「老いへの怯え」そして「女としてのプライド」が、彼女を不倫へと駆り立てて――。

 気になる続きの前に、第1話はコチラからお読みいただけます。

この男を落とす!

 咲子さんは語る。

「合コンや食事会、バー通いなど、私の男漁りの日々は続きました。女としてどこまで通用するか確かめたかったんです。羽田周辺のホテルのバーラウンジでひとりで飲んでいると、ある日、見知った顔の男性がカウンター席に腰を下ろしたんです。

(この男を落とすわ)

 ダークスーツの似合う30代後半のイケオジの彼は、私から一席空けたスツールに座ってバーボンをオーダーしました。目の前にはリバービューと対岸の夜景が美しく、それだけでロマンティックな気持ちにさせてくれます。私はカクテルを飲みながら彼と話すタイミングを見計らっていました」

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彼の目が「男」に

 ここで咲子さんは賭けに出る。飲みかけのカクテルグラスをわざと倒したのだ。

「お酒は残りわずかでしたが、テーブルにはコリンズグラスが転がり、中身はすべてこぼれてしまって…バーテンがさっとおしぼりを渡してきました。そしてイケオジもこちらを向いて『大丈夫ですか?』と話しかけてきたんです。

 私はテーブルを拭きながら『ええ、大丈夫です。ビックリさせてしまってごめんなさい』と告げ、彼の目をじっと見つめました。その瞬間、彼の目が『男』になったのが分かったんです。

 実は彼…同期CAの旦那さま。結婚式の二次会で私が幹事を務めたからよく覚えています。でも、彼は気づかない。むしろ気づかないことに安堵しましたね」

 その後、彼のほうから「おひとりですか?」「よかったら、少し話しません?」と隣の席に移動してきたという。

男性は同期の夫

「その男性は、大手商社に勤める茂樹さん(39歳/既婚子供アリ)です。同期CA・菜々美と結婚したのが26歳の時なので、4年ぶりの再会ですね。

 菜々美は独身時代、交際中の彼がなかなか結婚を決断してくれないことに不満を抱いていたようで、『授かり婚』をもくろんだヤリ手です。

 私は『広報要員にもなれなかった菜々美が、こんないい男と結婚するなんて』と心の中で毒づきました。それからは、茂樹さんと声を潜めて話し始めました。もちろん、私がCAということは隠して。

お互いの素性を隠したまま

――あなたのようなキレイな人がひとりで飲んでいるなんて…。

 彼は照れながら、そして口説きともとれる口調で告げてきたんです。私は心の中でほくそ笑みました。

――リップサービスでも嬉しいです。このバーは夜景が美しいからひとりで飲みたい時、時々来るんですよ。

――失礼ですが、お仕事は空港関係の人?

――ナイショ。その代わり、私もあなたが何者かを聞きませんから。

 話しているうちに、彼の声がしだいに艶めいてきました。

――実は僕、上海に住んでいて今回は一時帰国なんです。明日には日本を発つんですが…あなたと離れるのが惜しいな。

 彼の眼光が鋭さを帯びました。私も微笑を浮かべてこう返したんです。

――私も…今、同じことを考えていたの」

甘いひと時を過ごしたのち…

 その後、2人はホテルの上階に行き、甘いひと時を過ごしたという。同期CAの夫を寝取った達成感に、咲子さんのプライドは大いに満たされた。

「私がシャワーを済ませ、彼がバスルームに入った直後、彼のビジネスバッグを開けて会社の名刺を取り出しました。名刺には、A商社の自動車部門の茂樹さんと記されています。

 私はシーツが乱れたベッドを背景に、彼の名刺を片手に持ち、スマホで自撮りをしました。ついでにシャワー後、バスローブ姿で出てきた彼を無音アプリで撮影。そこで、はじめて自分の正体を明かしました。

――実は私、あなたの結婚式に出席したんですよ。

――えっ?

――A商社の自動車部門に勤める茂樹さんですよね?

――どうして…それを?

――あなたの奥さま、元CAだった菜々美さんでしょう? 彼女、私と同期だったんです。

こんなに簡単に浮気する男なんだ

 ここまで告げると、茂樹さんは言葉を失ったまま、その場に立ち尽くしていました。

――は…初めから知っていたのか?

――ええ、存じていました。

――何が目的なんだ?

――別に…ただ、菜々美さんを一途に愛している茂樹さんも、こんなに簡単に浮気する男なんだと思うと、おかしくって。

 私が笑い声をあげると、

――菜々美には黙っていてくれ。

 そう懇願してきたんです。

――もちろん言いません。でも、スマホには証拠が残っていますから、変な真似はしないでくださいね。

最低な行為と知りながら

 スマホを彼に向け、先ほど撮影した画像を見せたんです。

――君は…最低な女だな。

 彼は悔しそうに、表情を歪めました。

――出会ったばかりの女と関係を持つ男も最低じゃないの。愛する妻子が上海で待っているのに。

――くそっ…!

――なかなか楽しいお遊びの時間だったわ。じゃあね」

 私は薄笑みのまま部屋を後にしました。最後まで自分の名前は明かしません。他の女に属する男を奪った達成感、そして、自分がまだ『女』として通用する事実に、自信が湧いてきて心が晴れ晴れしましたね。いい気味です。

 最低の行為と知りながらも、その後の私は次のターゲットを求めて、フライト後やオフの日、既婚の男性を漁り続けました」

 次回に続く。

(蒼井凜花/作家・コラムニスト)

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