最高裁が上告棄却、佐川宣寿氏の賠償認めず…雅子さんの裁判は終わっても、真実解明は終わらない
3月14日、寒さが和らぎよく晴れた金曜日。赤木雅子さん(53)は東京ドームにいた。お目当てはロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。メジャーリーグの開幕戦となる東京シリーズを前に公式練習が行われた。
森友事件の公文書改ざんで夫を亡くした雅子さん。真相を知りたいと起こした情報開示訴訟は国の上告断念で勝訴が確定。もう一つ、佐川宣寿元財務省理財局長相手の裁判は1審、2審と連敗し、最高裁で審理が続いていた。つかの間の休みに友人から誘われ、大谷選手を一目見ようと訪れた。
球場内でクレープ店の行列に並んでいる時、代理人の生越照幸弁護士から電話が入った。
「最高裁から上告棄却の決定が届きました」
佐川氏との裁判に負けたという知らせだ。ちょうどクレープを受け取るところだった。
「そうじゃなかったらその場で倒れていましたよ」
冗談交じりに語っていたが、悔しさは計り知れない。佐川氏が主導した改ざんさえなければ、夫の俊夫さんが命を絶つことはなかった。裁判を通してお詫びと説明をと願ってきたが、佐川氏は法廷に姿を見せず何も語らなかった。