高齢者はなぜ意識して「水」を飲む必要があるのか?
高齢になると「意識して水を飲む」よう勧められる。なぜか? 体内水分量の割合が加齢と共に低下するからだ。子供は体内の70%が水分で、成人は60%、高齢者は50%となる。
体内水分の約3分の2は細胞内に存在し、タンパク質やエネルギーを作るための代謝の触媒として使われる。残り3分の1は血液やリンパ液、細胞間液として、体を維持するのに必要な酸素や栄養素を溶かして運搬したり、逆に体に不必要なものを排出する。体温調整のためにも水分は必要だ。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「生き物に水が必要なのは酸素などさまざまな物質が溶け込みやすく、生きるために必要な代謝や運搬、排泄に便利だからです。しかも水は温まりやすく冷えにくいので、恒常性動物である人間には都合がいい。よく若さの表現として『みずみずしい』という言葉が使われますが、それは生き物は細胞の内外を十分な水に浸しておく必要があるからでしょう。まさに、外見の若々しさは内面の若さを表します。年老いて見える場合の体内の変化のひとつは、水分量の低下なのです」