「家裁調査官・庵原かのん」乃南アサ著
「家裁調査官・庵原かのん」乃南アサ著
福岡家庭裁判所の少年係調査官・かのんの仕事は、罪を犯した14~19歳の子が問題を起こした原因を探ること。保護者照会書や警察の調書を読み、少年の生育歴や家庭環境、生活態度を調べ、当人と面会、裁判官が審判を下す際の判断材料となる報告書をまとめる。
ある日、万引した高校生・陽太朗と面会したかのんは、同席した母親の過干渉が気になるが、一度の面会ではなかなか踏み込んで話をすることができない。一方、自転車泥棒で捕まった15歳の貴久との面会では、母子家庭の困難な状況が浮き彫りになってくる。そんな中、警察から陽太朗が再び逮捕されたと連絡が入る。(「自転車泥棒」)
罪を犯した少年少女の話に耳を傾ける家裁調査官の仕事を通し、社会のひずみを描き出す連作集。 (新潮社 880円)