「警察・スパイ組織解剖図鑑」加賀山卓朗、♪akira著 松島由林イラスト
「警察・スパイ組織解剖図鑑」加賀山卓朗、♪akira著 松島由林イラスト
現実社会ではあまりお世話になりたくないが、小説や映画、ドラマなどのエンターテインメントの世界に欠かせないのが警察や諜報機関だ。
本書は、海外エンタメ作品がより楽しめるよう、日本とはちょっと異なる海外の警察組織や存在自体が秘密のベールに包まれている諜報組織を解説してくれるイラスト図鑑。
まずはアメリカ。全警察組織が国家公安委員会の管轄下にある日本とは対照的に、アメリカの警察は大小さまざまな組織がおのおのの権限で治安維持活動をしており、州や郡によって組織も活動内容もまったく異なるそうだ。
映画やドラマに頻繁に登場するニューヨーク市警は、5万人以上の職員を擁する全米最大の警察組織だが、中には一握りの警官から成る小さな町の警察署もあり、その規模や機能は千差万別。
複数の自治体にまたがった事件ではその上の郡警察、さらに複数の郡にまたがる事件やハイウエー警備は州警察、そして複数の州を含む事件や国家的犯罪には連邦捜査局(FBI)が出てくる。
こうした警察の仕組みから、警察組織内の階級なども解説。一方で、ロス市警の刑事を主役にしたあの「刑事コロンボ」から、「シカゴP.D.」や「HAWAII FIVE-O」、「ミスティック・リバー」(ボストン)など、都市警察を舞台にしたドラマや映画を面白イラストとともに数多く紹介。
ほかにもアメリカならではの保安官と警察との違いや、DEA(麻薬取締局)、CIA(中央情報局)などの捜査機関、特殊機関も取り上げる。
以降、英国や北欧、さらに世界進出著しい韓国に日本も加え、それぞれの警察・スパイ組織とおすすめ作品を網羅。
コラムも充実しているので読み物として、そして小説・映像作品ガイドとしても楽しめる一冊。
(エクスナレッジ 1870円)