夕月 清水淳子社長(5)3.11で冷凍庫が故障 かまぼこ3カ月分の原料すり身がピンチに

公開日: 更新日:

 地震と相前後して天気は急変。空を黒い雲が覆い、小雪が舞い始めていた。そして震度5前後の余震が続く中、津波情報が流れてきた。

「夕月本社から海岸線までは約3キロありますが、家族のためにも従業員は早く避難させたほうがいい、と判断。帰宅を優先しました」

 一方、工場内を確認すると、ラインの一部が壊れ、大型冷凍庫や冷蔵庫に大きな被害があった。

「厄介だったのは、水道が止まってしまったことでした。というのは、原料のすり身、約300トンを保管していた冷凍庫が水冷だったからです。300トンといえば、弊社の主力である『レッド』と『ホワイト』の板付きかまぼこ約3カ月分の生産量に匹敵します。弊社にとっては死活問題でした」

 やむなく当時の工場長とボイラー担当者が井戸水をくみ上げて、バケツで冷却用水を供給。人海戦術で何とか冷凍庫を維持できた。

「水道が元に戻ったのは震災から約2カ月後です。地震の揺れで配管がズレてつながらないため、配管を掘り起こしてバイパスをつくる工事が終わってからでした」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方