NHK「新プロジェクトX」で話題の「J-フォン」…統合にかかわった100人の老舗IT企業の物語
7000人の会社の移転とシステムの切り替えを受注
JBSがJ-フォンのプロジェクトを受託したのは2002年です。01年にイギリスのボーダフォン・グループに買収され、アメリカ人のダリル・E・グリーン社長とCFOのジョン・ダーキン氏によって立て直しがなされている頃でした。きっかけは、01年の暮れに当時のJ-フォンナンバー2のジョン・ダーキン氏からかかってきた1本の電話でした。ダーキン氏はJ-フォンに来る前、ナイキジャパンの役員を務めており、そのときからJBSの牧田氏と懇意にしていたのです。
「3カ月後に移転することが決まった。次にメールシステムを切り替えたい。JBSはで きるか?と聞かれました。長年お世話になってきたジョン・ダーキンさんの頼みに応えるしかありません。ただし今まで経験したことのない大きな仕事でしたので不安はありました」(牧田氏)
7000人の社員のメールシステムを別のシステムに切り替えるのは、電灯のスイッチをオンからオフに切り替えるような簡単なものではありません。例えばデータ移行です。古いシステムで使っていたすべてのメール、カレンダー情報、アドレス帳などのデータを移行する必要があります。これは、大量のデータを扱うため、時間がかかりますし、データの損失や破損を防ぐため、慎重に行わなければなりません。
システム設定作業も煩雑です。新たなメールサーバーの設定や、セキュリティー対策、 バックアップシステムなどを構築する必要があります。これには専門知識が必要ですし、複雑な作業が伴います。