高齢化進む建設業界で二重三重のひずみ浮き彫り…69歳測量士が安全確保怠った建設会社を提訴
建設業界は高齢化が著しい。総務省によると、建設業就業者のうち55歳以上の割合は36.6%で、全産業の31.9%を5ポイント近く上回る。一方で、29歳以下はわずか11.6%にすぎない。現場では多くの高齢者が、転倒や転落などのリスクを抱えながら作業をしている。
弁護団によれば、仮にケガを負っても、泣き寝入りすることが少なくないという。高齢になればなるほど再就職が難しくなり、立場が弱くなってしまうからだ。
そのうえ、建設業界はそもそも労災の発生率が高く、昨年の労災による死亡者数は全体の約3割に及ぶ。危険な作業が多いのはもちろんだが、他にも原因がある。
■立場が弱い下請けは泣き寝入り
「建設業界には今回のケースのような重層下請構造がある。大手ゼネコンなどの元請企業からすれば余分なコストをカットしたい。立場が弱い下請けは安全対策なども含めて、声を上げることができないのです」(原田氏を支援する総合サポートユニオンの池田一慶氏)
結局、高齢者の安全まで手が回らない状態で、作業が進められている。