著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

陸軍幹部もだまされた「水を石油に変える」化学薬品のウソ話

公開日: 更新日:
明治大学平和教育登戸研究所資料館に展示された風船爆弾の模型(C)共同通信社

 この頃(昭和16年秋のことだが)、アメリカとの開戦を巡って、陸海軍の軍令部門の参謀たちはかなりの焦りを示していた。そのためこれまで語ってきたように、商社のビジネスまでも監視していたのだ。

 ほかにも奇妙な動きはあった。陸軍は神奈川県の登戸に各種の研究所を持ち、他にも戦争兵…

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