著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

理不尽な死の怨念を人々が引き継ぐ 「戦死した若者が故郷に帰ってくる」という幽霊話

公開日: 更新日:
アッツ島の火葬現場(1953年=昭和28年=7月)/(C)共同通信社

 北海道の旭川周辺で広がった幽霊話は、いかにも真実味を帯びていた。市内にある第7師団の兵舎は留守部隊が守っていた。一木支隊に編成されてガダルカナルで亡くなった兵士のことはすぐには知らされなかった。昭和17年8月、9月といえば日本軍が優勢のころで、敗北して撤退するのを、転進と言って… 

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