トランプが大統領令でDEI禁止…アメリカのダイバーシティーは終わったのか
そう言えば聞こえはいいが、問題はそこに、1965年の雇用機会均等令の撤廃も盛り込まれていることだ。労働者を人種や性別で差別することはできないという、公民権運動時代の大統領令の廃止は、DEIを大きく超えて女性やマイノリティーの権利の縮小であることは明らかだ。
アメリカでは女性の賃金はいまだ男性の84%にとどまっている。また白人家庭の収入は黒人の1.6倍、貧困率を比べてもとても公平とは言えない。奴隷制時代の名残を強く残す制度的差別が大きな原因だ。だからこそ「特権」を持つ白人とのバランスを取るために、DEIの推進が必要と考えられてきた。
DEIは#metoo運動やブラック・ライブズ・マター運動を通じ急速に浸透した。それに対し逆差別されていると感じた白人男性の反感を、トランプが掘り起こしたとも言える。
さらにアメリカはマイノリティー移民の流入で、2045年には白人人口が半数を割ると予測されている。それを見越し白人がパワーを維持するための対策が、トランプのマイノリティー移民排斥でありDEI廃止でもあるという見方も強い。