「阪神・和田監督は短期決戦向き」…権藤博氏がそう語る理由
2012年のCSで中日は巨人に3連勝しながら、4連敗を喫して敗退した。古くは89年の日本シリーズで近鉄が巨人に3連勝後の4連敗で苦汁をなめた。いずれも敗れた方の投手コーチとしてこの屈辱を経験している私から見れば、積極的に選手を動かしてCS6試合中4戦で先制点を奪い、切り札の守護神を惜しげもなくつぎ込んで流れを手放さなかった和田監督の采配は、29年ぶりの日本一を目指す阪神のストロングポイントになるような気がしている。
が、それはあくまで、短期決戦での話。CSでの呉昇桓の起用は、レギュラーシーズンではもちろん、悪手である。CSで見せた和田監督の大胆さは、レギュラーシーズンでは無謀や臆病と同義だ。攻めたくなるときこそ我慢、動きたくなるときこそ我慢――144試合の長丁場ではこれが明暗を分ける大きなポイントになるが、特に投手起用に関して和田監督は我慢するより動くことを選ぶタイプだ。
そういう意味では和田監督は短期決戦向きの監督と言えるが、私の中でそれはホメ言葉ではない。