「阪神・和田監督は短期決戦向き」…権藤博氏がそう語る理由
76歳になり、少々のことでは驚かなくなった私が、セのCSを見ていて「ほう」と思う場面があった。
阪神と広島が戦ったファーストステージ2戦目。0─0のまま迎えた九回に抑えの呉昇桓を投入した阪神の和田豊監督(52)がなんと、その呉に十一回までの3イニングを投げさせたからだ。
初戦を制していた阪神は、引き分けでもファイナルステージ進出が決まることになっていた。最も信頼の置けるストッパーに試合を託すのは当然のこととはいえ、3イニングとは大胆だった。
結局、4連勝した巨人とのファイナルステージを含めて、呉は6連投で全試合に登板。レギュラーシーズン終盤に去就問題で騒がれた、和田監督の執念が見て取れる起用ではあった。
CSや日本シリーズのような短期決戦を制するには、言うまでもなく常に主導権を握ることが重要。先制点を取れば、その試合の流れを引き寄せられ、初戦を取れば、そのシリーズのイニシアチブを取れる。そして、一度、流れを掴んだら決してそれを手放さないことが肝要だ。