平幕に敗れ茫然自失…横綱白鵬「エルボー頼み」のツケ
歴代最多の優勝37回を誇り、8日目には前人未到の幕内通算900勝を達成。今場所もV筆頭候補だった横綱白鵬(31)が、平幕の勢(29)にあっけなく負けた。
立ち合いで得意のヒジ――は使わずに中途半端な当たりを見せると、張り手の連打。突き押しで攻めたが、伸びた上体に下半身がついていかず、左足を滑らせてしまった。そこにすかさず勢のはたき込み。茫然自失の白鵬は土俵にへたり込み、勢に助け起こされる始末だった。
白鵬は5日目の宝富士に負けて以降、十八番になっているかち上げという名のエルボーを見せていない。宝富士の左腕によってエルボーを封じられ、小手投げをくらった。ヒジは低い体勢で突っ込んでくる相手には効果抜群でも、体勢の高い相手には決まりにくい、というのもバレて、対戦相手も宝富士の編み出した対抗策に倣っている。ここでヒジを出せば相手の思うツボ。となると、どうしても正面から当たらざるを得ない。
「そもそも、白鵬がエルボーを使っていたのは、体力の衰えをカバーするためです。ここ一番の集中力は健在でも15日間、正攻法で闘い抜けるかは怪しい。立ち合いで一発かまして戦意喪失させれば、後は楽に料理できますからね。だからこそ、周囲の批判もお構いなしでヒジを繰り出していた」(ある親方)
前日の松鳳山戦もそうだったように、ヒジを封じられてからの白鵬は極端に組むのを嫌がっている。せめて張り手でひるませてやろうという作戦だろうが、それが裏目に出て2敗目を喫してしまった。
ヒジを使えなければ、恐るるに足らず、だ。