加地亮<2>W杯は勝ち負けしか残らない魂と魂のぶつかり合い
オーストラリア戦の日本は、中村の先制弾で1点をリードして後半を迎えた。ところがケーヒル(英ミルウォールFW)といった切り札を次々と投入してきた相手のパワーに屈してしまう。
「何とか引き分けでいいから終わってくれと祈ったけど、怒涛の攻めを受けたら耐えるのは難しい。あの初戦でドイツW杯は終わっていたかもしれない」と彼は述懐する。
■柳沢の「Q・B・K」は加地のセンタリングから
気を取り直してクロアチア戦に先発。後半6分には、加地の絶妙の折り返しに柳沢敦(鹿島コーチ)がゴール前にフリーで飛び込む決定機を迎えたが、シュートは無情にもゴール右に外れた。いわゆる「Q・B・K(急にボールが来たから)」と言われるシーンだ。
「シュート性のボールを逆サイドに飛ばそう。そうすれば誰かに合うやろと思って強めのボールを蹴りました。自分的にはシュートだったけど、ちょっとマイナスに引っかかった感じ。そこにヤナギさんが飛び込んできた。あの動き出しの鋭さはさすが。結果的に外れたのは、仕方のないことだと思います」と加地は名場面を振り返った。