著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

自伝出版を連想させた稀勢の「人生に一片の悔いなし」発言

公開日: 更新日:

「引退後に出す本のタイトルじゃねえか? わが土俵人生に一片の悔いなし! 稀勢の里著」

「稀勢の里って『ちょ』っていう名前なんか?」

「……おまえ、めんどくさい」

「すまん」と黙る。

「自伝本を出すからと、出版社のシャッチョから言われとるんだ」

「急に書けるもんか?」

「もちろん自分で書くわけはない。どうすれば強い横綱でいられるか、頭を使った形跡のないやつが、引退した途端に本が書けるか。GWがおるんだ」

「ゴールデンウイークがどうかしたか?」

「ゴーストライター。おまえ、ほんっとめんどくさい」

「すまん」と黙る。

「きっと何度も練習したんだ。わが、わが、わがすもうじんせ~、いっぺんも食ってない。ちがう! 一片の悔いなし! そんぐらい覚えろ! わが、わが、すもうじんせ~……徹夜で覚えたな」

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