美馬が本音で語るロッテ入りの真相 佐々木朗希への助言も
楽天への寂しさ
――9年間プレーした楽天を離れることになった。
「起用に関して優遇してもらいましたし、宣言残留も認めていただき、感謝しています。外に出ていく不安はあったし、この仲間を敵に回すのも嫌だというのもあって、やっぱり寂しい気持ちはありました」
――このオフは、自身を含め、楽天から平石監督(ソフトバンクコーチ)、嶋(ヤクルト)ら多くの人たちが退団、移籍した。
「それに関しても寂しい、というのは正直あります。日本一になった2013年のメンバーがかなり少なくなってきている。いろいろ思うことはありますけど、現状、選手が入れ替わる時期に来ているんだと思います」
――嶋は退団が決まり涙を流していた。
「嶋さんは東北のシンボルみたいな感じだったですしね。チームでも思う人はいたとは思いますが、ただ、野球人として、試合に出ないと評価はされないですから、嶋さんもいい決断ができたんじゃないかと思います」
――同じく新入団してきたドラフト1位の佐々木朗希(大船渡)についてはどんな印象を?
「いろんなところでポテンシャルの高さは見えますね。走ること、投げること、いろんな動きを見ていると凄いと思うことはたくさんあります。何をやっても器用ですしね」
――走ることでいえば?
「単純に足が速いですよね。それに、あの高さの身長(190センチ)で、いいフォームで走ることはなかなかできない。背が大きい人は、ぎこちない走り方になったりもするんですけど、ちゃんと自分の体をコントロールできているなと思います」
――では投げ方は?
「そこまでちゃんと(ブルペンで)投げるところを見ていないですけど、力感なく投げるのは難しいことですし、球足が長いボールを投げられている。ちゃんと自分で考えてやってきたんだなという感じは出ているんじゃないでしょうか」
――首脳陣の方針で捕手を座らせての佐々木のブルペン入りは先になりそうです。
「みんな急ぎたがるんですけど、自分のペースでやれているのは、メンタルも強いからでしょう。ふつう、早く投げたくなったりしますけど、言われたことを我慢してやっている。なかなかできることではないと思います」
■「田中将大は常識人」
――佐々木は、以前のチームメートだった田中将大(ヤンキース)を目標の投手に挙げています。「投手として完璧。そういう投手になりたい」と。美馬さんから見た田中は?
「人格者ですね。なんでもちゃんとやりつつ、度を超えずにふざけるところはふざけますし(笑い)」
――投手としては?
「完全に(打者を)上から見下ろしていますよね。自分がやってきたことへの自信があると思いますけど、それをマウンドでしっかり出せる。メンタルが強くて力もある。とにかく強い投手という感じです」
――2013年は24連勝で日本一。
「勝たなきゃいけないというプレッシャーは大変だったと思います。そういうそぶりも少し見せていました。本人が一番大変ですけど、周りも結構ピリピリしていました(笑い)。あの年は完全に彼の年でしたよね」
――佐々木は、どうしたら田中のような投手になれるでしょうか?
「(苦笑いで)うーん……なんだろう……。染まらなきゃいいんじゃないですかね。道を踏み外さず、常識人であれば。あれだけのポテンシャルがあれば、ふつうにそうなっていくと思います。これからの過程で実力も、結果も出てくれば、しっかり育っていくような感じはしますね」
(聞き手=藤本幸宏/日刊ゲンダイ)