著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

日本人初の8mジャンパーは引退後、企業戦士から帰らぬ人に

公開日: 更新日:

 しかし、選手時代は「8」の字にこだわったように、異常と言っていいほど繊細な神経の持ち主だった山田は、精神的にも肉体的にも参っていた。ストレスという目に見えない敵と戦っていたのだ。事実、81年3月に39歳を迎えた頃は膵臓を悪化させ、入院している。

■異国の地に栄転してから3カ月後

 そして、病み上がりながら前号で述べたように、これまた異例の人事で39歳にして韓国の慶州東急ホテルの総支配人に抜擢された。渡韓後も全神経をとがらせ、働きまくったが、苦労も絶えなかった。300人ほどの従業員の中で、日本語を話せるのは副支配人のみ……。

 異国の地に栄転してから3カ月後の10月21日、山田は脳血栓で倒れ、帰らぬ人となった。母の展子が私に叫ぶように語ったごとく、息子の死は「残酷物語」であった。企業戦士としての末路である「戦死」とも言えた。

 山田の師匠である朝隈善郎は、戦前の36年ベルリン大会に出場した走り高跳びのオリンピアン。2008年に94歳で鬼籍に入り、愛弟子の分まで人生を全うした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  2. 2

    旧ジャニーズ“復活”で女帝復権か…米国でスルー状態のTravis Japanを日本メディアが一斉ヨイショの裏

  3. 3

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで

  4. 4

    巨人、阪神などライバル球団が警戒…筒香嘉智に復活気配、球際の弱さからの脱却

  5. 5

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  1. 6

    甲斐拓也だけじゃない!補強に目の色変えた阿部巨人が狙うソフトバンク「Cランク」右腕の名前

  2. 7

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  3. 8

    橋本環奈《山本舞香と友達の意味がわかった》 大御所芸人に指摘されていたヤンキー的素地

  4. 9

    番長・三浦監督の正体《サラリーマン、公務員の鑑のような人格》…阪神FA移籍せず残留の真意、堅実かつ誠実

  5. 10

    カトパン夫の2代目社長は令和の“買収王”? 食品スーパー「ロピア」の強みと盲点