柔道・野瀬清喜氏は平凡な国立大学を一人で超強豪校に導く
野瀬清喜さん(柔道86キロ級/84年ロサンゼルス五輪銅)
「五輪で引退を決めていました。それからは指導に注力です」
そう語るのは32歳にして84年ロサンゼルス五輪に初出場を決め、柔道86キロ級の銅メダルを勝ち取った野瀬清喜氏だ。
1浪で東京教育大学(現・筑波大学)に入学し、大学院や指導助手などを含めて10年ほど在籍。29歳の時に埼玉大学の教員となり、それから65歳で定年退職を迎えるまで教育学部の教授(保健体育)として教壇に立った。
「教員になった頃、私は全日本選抜体重別大会やハンガリー国際大会などで優勝していて、そこそこ柔道界では名前を知ってもらっていました。だから教えてほしいといって、中学生や高校生が大学の道場に練習しに来てくれたんです。当時の埼玉大柔道部は練習に来る部員が男子でも10人程度だった。これでは寂しいってことで、来るもの拒まず、中高生も受け入れていました」