「首脳陣の声に一喜一憂するな 自分の目に自信を持て」

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 部長いわく、「足や肩が飛び抜けてれば、体は小さくてもそうは見えない」そうだから、なおさら担当は不安になったに違いない。

「けれども、考えてもみろよ」と、部長はこう続けた。

「新人の自主トレは始まったばかり。まだ、足や肩をアピールする段階じゃない。これから本格的に体を動かしたり、実戦的な動きがメニューに入ってきたりすれば、見方も変わってくるさ。だから担当には、理由を説明したうえで首脳陣の声に一喜一憂するな、自分の目に自信を持てと言うつもりなんだ」

 何しろくだんの担当スカウトはまだ若い。オレみたいに百戦錬磨、修羅場をくぐり抜けているベテランならともかく、経験の浅いスカウトが首脳陣の声に逐一、反応してしまうのも無理はない。なんて思ってたら、「だからといって、おまえみたいに鈍感過ぎるのも考えモノだからな。年明け早々、監督に会うなり『おかげさまで先日、パープレーで回りまして……』って自慢げに挨拶したらしいじゃねーか。まったく何考えてんだ!」って、新年早々、説教さ。

(プロ野球覆面スカウト)

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