稲見萌寧(8勝)vs 小祝さくら(5勝)賞金女王争いトップ2はどっちが強い?
先週の国内女子メジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」は最終日に首位と1打差2位発進の稲見萌寧(22)がスコアを8つ伸ばし、通算19アンダーで優勝。今季8勝目を挙げ、小祝さくら(23)を抜いて賞金ランク1位に立った。
賞金女王争いは稲見と小祝の2人に絞られてきたが、2人に共通するのは抜群の安定感だ。
平均ストローク(平均スコア)は稲見が70.01(1位)で、小祝が70.43(2位)。年間トップ10の回数も稲見20回(1位)で、小祝17回(2位)だ。他のスタッツを見ても弱点らしい弱点は見当たらず、実力はずぬけている(スタッツは9月12日時点)。
両者の違いを挙げるならばスイングスタイルと球筋だ。
小祝はダウンスイングがフラットでややインサイドアウト軌道。右から左に曲がるドローが持ち球だ。ドロー弾道は効率良くランを稼げ、風に強い球が打てるメリットがある。
対する稲見はアップライトなトップから左下に振り抜き、左から右に曲がるフェードが持ち球。
アイアンを打つかのような縦振りでドライバーを鋭く振り抜く。かつてはドローの方が飛距離が有利だといわれていたが最近の大型ドライバーは低スピン弾道が打ちやすいのでフェードでもしっかり飛距離を稼げる。
加えて、アイアンはドローよりもフェードの方がスピンが利いた弾道になり縦のミスが出づらい。
シビアなコースセッティングでもピンを狙っていける有利さもある。
東京五輪銀メダルの結果が示すように、稲見のアイアンショットは世界のトップ選手たちと引けを取らない。
安定感を生むコーチの存在
平均ストローク、平均パット数は2人ともほぼ同じスタッツを残す中、パーセーブ率は稲見が1位で、小祝が4位。日本女子プロでもそうだったが、稲見はここ一番でボギーを叩かない安定感があり、それが勝負強さにつながっている。
そして安定感という意味で欠かせないのがそれぞれのコーチの存在だ。
小祝は辻村明志コーチ、稲見は奥嶋誠昭コーチがトーナメントに帯同、指導を受ける。辻村氏は王貞治の一本足打法を生んだ名伯楽・荒川博氏に師事し、自らもトーナメントプレーヤーとしての経験を生かした指導をしている。対する、奥嶋氏は3Dで動作を解析するモーションキャプチャー「GEARS」を用い、米ツアーの最先端スイングを熟知した上での指導に定評がある。
国内女子ツアーも残すところ今週も含めて11試合。この両コーチの手綱さばきが、今シーズンの賞金女王争いの鍵を握っていると見ている。
(スイングアナライザー・マーク金井)