ドイツの名将は気配り上手の「3冠監督」、変幻自在の“攻撃サッカー”が信条
ドイツ(4)監督力
サッカー強国ドイツにとって、2018年ロシアW杯以降の成績は「許しがたい」モノでしかなかった。ロシアではメキシコと韓国に敗れ、グループリーグを最下位で敗退。20年11月のネーションズリーグ・スペイン戦で0-6という歴史的大敗を喫した。昨年3月のW杯欧州予選で弱小国の北マケドニアに地元で金星を献上。同6月の欧州選手権では決勝トーナメント1回戦でイングランドに敗れた。その欧州選手権が終わった後、ドイツ復権の重責を担うことになったのが、強豪バイエルン・ミュンヘンで好手腕を発揮していたハンジ・フリック監督(57)である。
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フリック監督にとって06年が、指導者としてのステップアップの契機となった。イタリアの名伯楽トラパットーニを新監督に、ドイツ代表のレジェンド・マテウスを新コーチに据えたオーストリア1部ザルツブルクのアシスタントコーチに就任。そこでの仕事ぶりが評価され、同年にドイツ代表のアシスタントコーチに登用された。
14年ブラジルW杯優勝の後に現場を離れたフリック監督は、19年にバイエルンのアシスタントコーチに就任。4カ月後に当時のコバチ監督が解任され、暫定監督に就任するとリーグ戦とカップ戦に加えて欧州CL優勝を果たし、3冠監督の称号を手にして瞬く間に名将の仲間入り。そして昨夏にドイツ代表監督に就任するとW杯欧州予選7連勝。世界一番乗りでW杯チケットを手にした。