阪神次期監督・岡田彰布氏で“すんなり決定”にはならない「特殊球団」と在阪メディアの事情
藤川球児を推す声
「岡田さんは、自他ともに認める“タイガース命”の人。常に再登板への意欲を隠していないし、正直な人ですからね。時期が時期だけに、とぼけておけばいいものを、阪神監督就任への思いが前面に出てしまう。それが愛嬌というか、憎めないところですが、そうはいっても、必ずしも親会社や球団内で“ポスト矢野”が岡田さんで一致しているわけではない。球団内には、チーム運営や編成にも口を挟み、注文をつける“岡田監督”にアレルギーを持つ人間も少なくない。この際、首脳陣も一気に世代交代を図り、藤川球児(41)を監督に推す声もある。そのために、幹部候補生としてスペシャルアシスタントという役職を新設してまで、球児を球団に残しているのも事実ですから」(阪神OB)
球界では「人事は表に出たら潰れる」というのが定説だ。球団内の“岡田アレルギー”に関しては、岡田氏自身がOBで愛弟子の鳥谷敬との対談でこう言っている。2008年に巨人に最大13ゲーム差をひっくり返されてV逸、その責任を取って辞任したことに触れ、
<負けたらやめようと思っていた。フロントとうまいこといってなかったからな。なんかおかしい雰囲気というかな、本当にみんな上のもんも勝ちたいんかなというな。選手に分からない格闘がいろいろあったんよ。辞めんでもよかったかも分からんけど。まあでも、もしやってたら次の年、絶対に優勝さしたと思うよ、オレはね。絶対、優勝させたと思う>
フロントとの確執が辞任の原因でもあったと暴露しているのだ。
■阪急への忖度なら残念
元阪神球団社長の野﨑勝義氏に話を聞くと、「チームがうまくいっていないタイミングで、再登板する可能性は大いにあると思っています。しかも、岡田さんと阪急の角会長は同じ早大卒。以前から親しい間柄だと聞いています」とした上で、こう続ける。
「とはいえ、です。阪神は村上ファンドによる買収劇によって阪急と経営統合し、阪急がイニシアチブを握る形になりましたが、阪神出身者の立場からすると、やはり阪神が球団のオーナーであり続けるべきだと思っています。仮に、阪神が阪急に忖度する形で監督を決めるようなことがあれば、それは残念なことです」
野﨑氏が指摘するように、阪神内には阪急の介入を嫌い、恐れる者がいるともっぱらだ。
「今回の記事が、岡田潰しの契機になるかもしれません」とは、前出OB。
■「現役時代からお山の大将」
「岡田さんは野球脳が優れた人ですが、現役時代からお山の大将で、監督就任時に意見したコーチを解任するなど、時にフロントや現場に軋轢を生んだ。評論家としても阪神へ批判的な発言をすることが多く、これを面白くないと受け止めている親会社、球団の人間もいます。これが08年の監督退任以降、再三にわたって監督再登板が噂されながら、実現しなかった要因になっているともいえる。今回も矢野監督が今季限りで退任することが決まっているとはいえ、曲がりなりにもチームはシーズンを戦っている最中。開幕当初は低迷するも、6月は14勝7敗1分けと巻き返し、4位に浮上(29日現在)。Aクラス入りもありうる状況だけになおさらです」
岡田再登板に否定的なのは他にもいる。在阪の放送関係者が言う。
「在阪のスポーツ紙もそうです。岡田さんは監督時代、どの新聞、雑誌に対しても分け隔てなく接してきましたが、監督退任後はデイリースポーツの評論家を務めている。デイリー以外の他紙からすれば、記事作成やネタ収集のためにも、自社のお抱えの評論家が監督になってもらうに越したことはありませんから」
再登板に意欲を燃やす岡田氏だが、今回も立ち消えになったとしても、何ら不思議ではない。