西武との98年日本S第6戦 全球ストレート勝負で初の日本一の感慨
0-0で迎えた八回1死二塁。迎える打者は3番・高木大成と4番・鈴木健。私は1点もやれない場面で、先発の川村丈夫をリリーフした。
1998年、西武との日本シリーズ第6戦。横浜はここまで3勝2敗と日本一に王手をかけていたものの、適時打を打たれて決勝点になれば3勝3敗で、逆に王手をかけられてしまう。
■「10.19」の経験
マウンドに向かうリリーフカーで、頭の中をよぎったのは10年前の経験だった。「10.19」といわれたロッテとのダブルヘッダー2試合目。無得点で抑えれば近鉄のリーグ優勝という場面でリリーフしながら、気持ちが守りに入って高沢秀昭さんに本塁打を打たれたシーンが蘇ったのだ。同じ轍は踏まない。とにかく攻めの投球をしようという決意でマウンドに登った。
まずは高木を内野ゴロに打ち取って2死三塁。次打者の鈴木は変化球にうまく対応するし、広角に打てるバッターだ。かわす投球をしても、ヒットにされる可能性がある。ここはストレートで押すしかない。捕手の谷繁元信もストレートで攻め切ろうというサイン。思惑が一致した。鈴木に対しては全球、ストレート勝負。ファウルで粘られたものの、ストレートで押し続けて左飛に打ち取ることができた。